東日本大震災 その8
私達が居た「ホテルグランドパレス塩釜」は、
海から700mくらいの所にあった。
本塩釜駅からも100mくらいで、人通りが多いところだった。。。
車も沢山往来していて、近くには、ホームセンターやマックスバリューもあった。
数名で海に向かって歩いて行った。
マリンセンターがあるのは知っていた。まさか無くなっていないよな。。。
港が見えてきた。
凄いことになっていた。
大きな船が、堤防を越えて道路に打ち上げられているではないか!
津波の破壊力に驚きながら先へ進む。
どこを見渡しても、車が散乱していた。
何かが焼け焦げた匂いがしてきた。
直ぐにその原因がわかった。
少し離れた港にある、石油会社の工場から舞い上がっている黒煙だった。
近所の人達が、ガックリ肩を落として歩いている。
この人達は、家はあるのだろうか?
「可愛そうに。」と思ってしまう。
どこを回っても車の山。 町を覆う泥。
信じられない光景だけが目に入ってきた。
30分くらい回ってホテルに戻った。
「1時間に1回集まろう。」と決めていた。
何回めの集まりだっただろうか?
やっと、塩釜の鈴木さんが、昼過ぎに戻ってきた。
「脱出手段はあったのだろうか?」
「私達は、いつ家に帰れるのだろうか?」
みんな鈴木さんの話に耳を傾ける。
「交通も全てストップしています。今の所、脱出手段はありません。
そして、ここは公的な避難所ではありません。
ですので、これから、5キロくらい離れた、多賀城市施設の避難所に
移動したほうがいいと思います。」
梶原会長が決断した。
「みんなで避難所に移動しよう。」
みんな出発準備にかかった。
空を見上げると、昨日とは違う青空が気持ちよかった。
しばらくすると、大きな爆音と共に、
自衛隊の救助ヘリが、私たちの頭上を飛び去っていった。
神様、早く家に帰れますように・・・。